リフトが止まり、ゲレンデは草や泥に変わり、スキーウェアはクローゼットの奥にしまわれる。
でも、山形では違う。
4月下旬──他のスキー場が終わる頃に、月山はオープンする。
標高1,600メートル。磐梯朝日国立公園の雄大な稜線。残雪とブナの新緑が同時に視界に広がる、ここにしかない春の風景。
そして月山スキー場は、7月頃まで滑走可能だ。
スキーヤー、スノーボーダー、そしてスキーを履いて登山をする山岳スキー愛好家。全員が同じ白い斜面に引き寄せられる理由が、そこにある。
月山スキー場とは──日本で最も遅くまで雪が残るゲレンデのひとつ
月山スキー場とは、山形県西川町に位置し、例年4月下旬にオープンして7月頃まで営業する、日本屈指の「春・夏スキー場」のこと。標高1,600mの高地にゲレンデが広がり、豊富な残雪と磐梯朝日国立公園の大パノラマコースが最大の魅力だ。
なぜこの時期まで雪が残るのか。
月山は標高1,984mと2,000mに満たない山ながら、日本海から直接吹き込む季節風の影響を強く受け、冬季に積雪が非常に多くなる。
その雪が春になっても解けきらず、緑が萌え始めた斜面に白い雪が残り続ける。これが月山ならではの景色をつくり出している。
また、6月中旬以降はスキー・スノーボードに加え、ペアリフトを使った月山登山にも対応。リフトを降りた先には、花と雪が共存する高山植物の世界が広がっている。
月山スキー場 基本情報
【所在地】山形県西川町 磐梯朝日国立公園内
【標高】約1,600m(ゲレンデ)
【オープン】例年4月下旬(ペアリフト営業開始)
【クローズ】例年7月頃
【リフト】月山ペアリフト・Tバーリフト
【登山利用】6月中旬~(リフトで月山登山へ)
【決済】PayPay・AuPay対応
【駐車場】環境整備協力金 1,000円/台
スキーを履いて山に登る──月山という特別な体験
月山には、ゲレンデを「滑るだけ」では終わらない、雪山の猛者たちが全国から集まる。
山岳スキー、あるいはスキー登山と呼ばれるスタイルだ。
スキーを履いたまま斜面を登り、山頂を目指し、そして雪の急斜面を自分の足跡を辿るように滑り降りる。ゲレンデの整備されたコースとはまた違う、山そのものと対話するような体験がある。
月山は霊峰
出羽三山(月山・羽黒山・湯殿山)のひとつとして、古くから修験道の山として崇められてきた場所でもある。
その神域を、スキーで歩く。滑る。山頂から鳥海山や日本海まで見渡す。これはただのスポーツではなく、山への敬意すら感じることができる体験です。
ただし、月山には独自の「月山スキー 月山登山ルール」が存在する。
月山環境整備運営協議会によって策定されたこのルールは、自然と利用者双方を守るために設けられたもの。初めて訪れる方は必ず事前に確認しておきたい。
月山でスキー登山をする前に知っておくこと
・「月山スキー 月山登山ルール」の事前確認が必須(公式サイト参照)
・登山届の提出推奨
・ゲレンデエリア外は自己責任のバックカントリー領域
・天候変化が激しいため装備は万全に
・6月中旬~はリフトを使っての月山登山も可能
雪の横で花が咲いている──月山フラワートレッキング
6月下旬、月山のゲレンデに不思議な光景が現れる。
雪がまだ残っている斜面のすぐ隣に、高山植物の花が咲いている。
月山は標高2,000mに満たない山だが、日本海からの季節風をまともに受けるため、通常であれば3,000m以上の山でしか見られないような高山植物が生育している。雪の傍らに咲くその様子は「雪田植生」と呼ばれ、学術的にも非常に貴重な現象とされている。
姥ヶ岳山頂から金姥・柴灯森・牛首・月山山頂へと続くルートには、見どころが連続する。晴れた日には姥ヶ岳山頂から遠く日本海まで望むことができる。
スキーを片手に、花を踏まないように歩く。月山には、そんな贅沢な季節がある。
この時期ここに集うのは、ウィンタースポーツ好きだけではないのも面白い。
Tバーリフトという、昔ながらの乗り物
月山スキー場には、ペアリフトとは別に「Tバーリフト」が設置されている。
T字型のバーを腰や股に当て、引っ張られながら斜面を登る。
日本ではもはや珍しくなった昔ながらのリフトだ。
初めて乗る人は少々戸惑うこともあるが、コツをつかんだときの快感は格別。海外のスキーリゾートでは今も現役のTバーを見かけることもあり、外国人ゲストには「懐かしい」と喜ばれることもある。
ちなみにわたしも懐かしく感じる一人だ。
幼少の頃はこのリフトしか知らなかったし、これができた時はとても感動したのを覚えている。
このリフト、古臭く感じるかもしれないが、月山の独特の雰囲気を演出する、ちょっとしたアトラクションとしても楽しんでほしい。
月山×鶴岡で、旅はさらに豊かになる
月山スキー場は、西川町に位置するが、鶴岡を拠点にしたアクセスも十分に可能だ。
前日に鶴岡で出羽三山の精神文化に触れ、翌朝、月山の斜面に向かう。滑り終えたら鶴岡に戻り、ユネスコ食文化創造都市の恩恵を存分に受ける──麦きり、庄内の地酒、郷土の食卓。そのまま温泉に入って一泊する。
ゲストハウス わたうさぎは、そんな「山形の旅の拠点」として機能します。出羽三山を擁する鶴岡を、ただの通過点ではなく目的地にしてしまう宿でありたいと、私たちは考えています。
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山形の雪は、まだ終わらない
湯殿山のシーズンが閉じる頃、月山はようやく目を覚ます。
春のゲレンデに残雪が光り、花が咲き、空には青空が広がる。
Tバーリフトで黙々と斜面を登り、誰もいないバーンを切り裂いて滑り降りる。その静けさの中に、山が持つ本来の力を感じる。
スキーや登山を「スポーツ」としてだけでなく、「山との対話」として楽しみたい人に、月山はきっと特別な場所になる。
夏スキー、体験してみたくないですか?
今日の記事はここまで。
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