つるおか夏の風物詩。ことしも「国宝 五重塔ライトアップ」始まります!
杉並木の奥、ふいに現れる国宝の塔
山形県鶴岡市。標高414メートルの羽黒山(はぐろさん)は、古来より霊山として知られ、出羽三山のひとつとして多くの修験者や参拝者を迎えてきました。
その山道の途中、静寂に包まれた杉並木の中に、まるで時の流れを超えて存在しているかのような木造の塔が立っています。
それが、国宝「羽黒山五重塔(ごじゅうのとう)」。東北最古の五重塔であり、東日本を代表する木造建築のひとつです。
一歩足を踏み入れると、深い森と苔むした石段、頭上を覆う杉のトンネル。その風景の中に忽然と現れる五重塔は、まるで異世界への入口のような、圧倒的な存在感を放っています。

この記事では、この羽黒山五重塔の知られざる歴史、構造、建築技術、そして2025年夏に開催されるライトアップイベントの詳細までを、じっくりご紹介していきます。
平安から室町へ──五重塔建立と再建の物語
羽黒山五重塔の起源は、平安時代中期・10世紀前半。関東の武将として名を残す平将門(たいらのまさかど)によって、931年から937年の間に建立されたと伝えられています。
将門は、反逆の英雄として知られる一方で、深い信仰心を持ち、神仏に強い加護を求める人物でした。出羽の地に五重塔を建立した理由は、鎮護国家・戦勝祈願・そして祖先供養のためとされ、当時の修験道の聖地であった出羽三山に特別な想いを抱いていたことがうかがえます。
時代は流れ、1372年(室町時代)。再びこの塔が注目されます。
平将門によって築かれた初代の塔は、風雪や地震により損傷し、ついには再建の必要に迫られます。そこで登場したのが、当時の有力貴族・藤原氏の一派。彼らは朝廷の支援や寺社の信仰を背景に、格式ある様式と精緻な技術をもって再建を行い、現在の姿の原型が完成しました。
この再建は、単なる修繕ではなく、「神仏習合」と「貴族文化」が融合した、時代の精神を映す一大プロジェクトだったといえるでしょう。
木と技術の結晶──心柱制振構造とこけら葺きの匠の技
羽黒山五重塔の構造には、日本が誇る伝統技術がふんだんに用いられています。中でも注目すべきは、内部にある「心柱(しんばしら)」の存在です。
この心柱は、五層の塔の中央を貫くように設けられた巨大な木柱で、地面から最上層の屋根裏まで届いています。心柱は建物のフレームとは固定されておらず、地震の際には独立して揺れることで、建物全体の揺れを緩和するという、極めて高度な「制振構造」となっています。
この仕組みは、まさに「木造免震」の先駆けともいえる技術であり、東京スカイツリーなど現代の超高層建築にもその原理が活かされているといわれています。
また、屋根に採用されているのは「こけら葺き」という技法。これは、薄い木の板を何層にも重ねて雨をしのぐ、日本独自の屋根葺き工法です。釘を使わず、木の特性と職人の手技によって実現されるこの方法は、自然素材と調和しながらも、高い耐久性と美しさを兼ね備えています。
羽黒山五重塔は、鉄やコンクリートが一切使われていない純木造建築。それでいて、600年以上の風雪に耐え、今もなお当時の姿を保ち続けているのです。
自然と共に生きる建築美──杉並木と爺杉の風景

羽黒山五重塔が立つ場所は、羽黒山の参道「石段(いしだん)」の中腹に位置しています。
この石段は、全長約1.7km、段数にして2,446段。杉の大木に囲まれた道を登っていくと、やがて空が開け、五重塔が静かにその姿を現します。
塔の背後に広がるのは、樹齢300〜500年を超える杉並木。そして、そのすぐ近くには、「爺杉(じじすぎ)」と呼ばれる推定樹齢1,000年の巨木がそびえ立っています。
この爺杉は、塔と同じく国の天然記念物に指定されており、まさに自然と人の信仰が共存する象徴的な存在です。
五重塔は、そうした自然の中に溶け込み、人工物でありながら、まるで森の一部であるかのような調和を保っています。これこそが、日本建築の真髄であり、訪れた者の心を静かに揺さぶる所以なのです。
2025年、夜の森に灯る光──羽黒山五重塔ライトアップ
そんな歴史と信仰に包まれた羽黒山五重塔が、年に一度だけ、夜の闇の中で幻想的に姿を現す──それが、「羽黒山五重塔ライトアップ」です。
2025年も、期間限定の開催が決定しています。
幻想的な光に包まれた国宝の姿を、杉並木の闇の中で静かに見上げる体験は、まさに非日常。
ライトアップ開催概要(2025年)
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開催期間:7月18日(金)~9月23日(祝)※20日間限定
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時間:
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7月・8月:19:30~21:30(最終受付21:00)
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9月:19:00~21:00(最終受付20:30)
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場所:羽黒山五重塔(山形県鶴岡市羽黒町)
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入場料:高校生以上 500円(協力金)
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主催:国宝羽黒山五重塔ライトアップ実行委員会
同時開催イベント
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羽黒山キャンドルナイト:
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7/19、8/15、9/15〜9/23開催。杉並木と参道を優しく照らすキャンドルの光が、訪れる人々を包み込みます。
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きてけろくん登場:
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山形のご当地キャラが7/19と9/23に登場。お子さま連れにも人気。
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キッチンカー出店:
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各開催日16:30~21:00(8/16は休業)。地元グルメを味わえる嬉しい特典。
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限定御朱印の配布:
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ライトアップ開催日限定で「書き置きタイプ」の特別御朱印を授与。
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知って訪れる、感動の深さ
羽黒山五重塔は、見るだけでも心を打たれる建物ですが、その歴史と構造、背景にある信仰や技術を知ることで、より一層その美しさと重みを感じることができます。
そして、夏の夜にだけ灯るその光景は、ただの観光イベントではありません。1000年を超える祈りの時間が、今この瞬間に続いていることを教えてくれる“再会の儀式”なのです。
出羽三山の入り口で出会う、光の国宝。
この夏、あなたもその静かな輝きに会いに行ってみませんか?


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